ルワンダ月報 2010年2月
ルワンダの英字日刊紙「The New Times」の記事を当館限りでまとめたものです。記事の中の客観事実は日本政府やルワンダ政府の公式見解と異なる場合がありますが、当館では文責は負いかねますので、ご了承下さい。
(1)内政
ア NECによる選挙日程の発表(8日付)
国家選挙委員会(NEC)は8月9日の選挙に向けた一連の日程を発表した。それによると、候補者の指名は7月2日から24日の間に行なわれる。指名された候補者のキャンペーンは7月20日から8月9日にかけて行なわれる。選挙の最終結果は17日までに発表される予定である。
イ 自由党によるインガビレ党首批判(11日付)
自由党(PL)は、分離主義を煽っていると、インガビレ党首を批判した。ビャバルムワンジPL副党首は、1994年にツチ族に対するジェノサイドが行われたというのは全てのルワンダ人の合意を得た事実であり、PLとしてはインガビレ党首を支持できないし、これ以上過激な発言を続けるのなら黙認しないと述べた。
ウ 首相によるインガビレ党首への警告 (12日付)
マクザ首相は、インガビレ党首に対して、彼女の発言がルワンダ人とルワンダの法律への敬意を欠いたものであると警告を行なった。
エ CIDによるインガビレ党首の召喚(17日付)
警察本部の犯罪捜査課(CID)は、インガビレ党首を召喚した。どのような取り調べがなされたかは明らかにされていない。
オ 7月に大統領候補者の発表(19日付)
ムニャネザNEC事務局長は7月7日に大統領候補者のリストを公表すると発表した。また同事務局長によると、本年の大統領選挙に必要とされる予算は2003年の2倍以上の60億ルワンダ・フランであり、そのうち60%が確保されており、近いうちに残りも確保される。
カ 手榴弾攻撃に関して2人の容疑者逮捕(21日付)
30人の負傷者を出し、1人の死亡者を出した19日夜の手榴弾攻撃に関し、警察は2人の容疑者を逮捕した。手榴弾攻撃は、3か所に同時に行われ、いずれも通勤先からの帰宅者を狙ったものと思われ、全てがタクシー乗り場を標的にしていた。死亡者はフエ郡出身の23歳の青年で、負傷者はキガリ内の3病院に収容された。警察によると、負傷者のうち5人が重傷で、その他の負傷者は帰宅した。犯人は完全には特定されていないが、2人の容疑者が国家警察に拘束されている。警察長官は、同事件が例外的なものであり、治安の維持が警察の最大優先事項であると述べた。
キ 手榴弾事件の容疑者の自白(22日付)
キガリ市における3か所への同時手榴弾攻撃の容疑者の1人が、犯罪を自白した。カイランガ警察報道担当者によると、20日、フエ郡ルハシャ地区で同容疑者は逮捕された。同容疑者で当該事件における逮捕者は3人目である。キガリ中央病院には5人の負傷者が収容されたが、そのうち2人が死亡した。
ク インガビレ党首の難民資格申請を英国高等弁務官事務所が拒否(23日付)
22日、インガビレ党首は、英国高等弁務官事務所に一時的難民資格と政治的保護の申請を行ったところ、拒否された。それより先、同党首はオランダ大使館に亡命を申請し、拒否されたという報告もあるが、マケン・オランダ大使は否定している。同党首はオランダで難民資格を取得していたが、1月16日ルワンダに帰還すると同時に資格を失った。奇妙なことに、複数の外交団からの情報によると、最近オランダ政府は同党首に3年間の査証を発行し、同党首がルワンダにおいて政治活動を続ける傍らオランダでの難民資格を再取得することを事実上可能にしている。同党首の支持者達は、警察がすぐにでも同党首を逮捕するという確たる情報を入手したと主張しているが、警察はそれを否定し、同党首に対しては慣例的な召喚を行っているのみであると述べている。
(2)経済
ア カンパラでのEALA開催(8日付)
8日、カンパラで第2回東アフリカ立法会議(EALA)の第3部が開始する。事務局からの発表によると、EAC観光法や野生動物の管理について話し合われる予定である。
イ EALAによる共同観光法案の通過(13日付)
12日、EALAは共同環境法案を通過させた。これにより、東アフリカ地域に共同観光局が設立され、域内国間の共同による観光のプロモーションや、観光業の水準の標準化が行なわれる。
ウ カガメ大統領によるコンゴ(民)との国境通過の簡素化への催促(11日付)
9日、カガメ大統領は地方政府、歳入庁、農業省、インフラ省を含む関係者に対し、貿易の増加のため、コンゴ(民)との国境での移動を簡素化するように催促を行った。カガメ大統領によると、昨年にも同様の催促を行ったにもかかわらず、国境通過の簡素化のための手続きが十分に行われていない。昨年の大湖地域経済協力計画(GEPGL)の再開によりコンゴ(民)との貿易量は増加したが、カガメ大統領によるとまだ十分に増加の余地がある。
エ 貿易赤字の拡大(26日付)
財務経済企画省の発表によると、ルワンダの貿易赤字は2009年に20%増加し、過去5年で3倍以上に膨らみ、援助への依存を深めている。2009年には、コーヒー、茶、鉱物の輸出額は合計1億4000万米ドル(2008年の輸出額は1億8270万米ドル)であり、輸入額は8.2%増である。最も輸出額の減った分野は鉱物資源であり、2008年の9070万米ドルから2009年は5460万米ドルに減少した。
オ 2010年の経済成長率は7~8%(27日付)
26日、金融政策に関するプレゼンテーションにおいてカニンバ中央銀行総裁は、2010年のルワンダの経済成長率が7~8%であると発表した。同総裁によると、主な成長の原因は肥料の普及による農業生産の増加である。
カ EAC共通市場議定書の4月批准(27日付)
26日、マカルリザEAC大臣は、EAC共通市場議定書が4月に批准されることを約束した。昨年11月に加盟国に署名された同議定書は同大臣によると4月中に全ての加盟国に批准され、7月1日に発効する。同議定書の批准により、自由な労働力移動や居住の規制の撤廃、加盟国間での専門的資格の共通認定、資本移動の自由への規制の撤廃などが行なわれる。
(3)経済協力
ア 世銀による1億1000万米ドルの援助(8日付)
8日、世銀による計1億1000万米ドルの資金提供に関する3件の署名が行なわれる。同援助の対象となるプロジェクトには、第2期緊急・武装解除計画や丘陵地灌漑計画が含まれる。
イ 日本によるルスジ県に対する9億5000万ルワンダ・フランの援助(11日付)
9日、日本国政府からUNICEF経由でルスジ県に対し、2008年の地震被害からの学校の復興のために9億5000万ルワンダ・フラン(RWF)の援助がなされることがルスジ県知事によって明らかにされた。
ウ 独による3850万ユーロの援助(11日付)
10日、独の復興信用機関(KfW)による3850万ユーロの援助の署名式がなされた。昨年からルワンダ政府は独政府に対し、技術協力を減らし、財政支援を増やすように要望してきており、署名式の中でティンペ独大使は、同国が財政支援増加に協力的であると述べた。
エ ORINFORによる458本のドキュメンタリーの購入(11日付)
情報報道局(ORINFOR)は、458本の日本文化に関するドキュメンタリーを購入する。同購入は、日本国政府による約50万米ドルの援助により可能となった。国営テレビ局ルワンダ国営テレビは、英訳されたこれらのドキュメンタリーの放映を半年以内に開始する。ムニャカヤンザ外務協力省次官は署名式の中で、「この援助は、日本がこれまでルワンダに対して行ってきた数々の援助のひとつにすぎない。両国は、農業やインフラ建設等の分野で協力をしてきて、今後も様々な協力がなされる予定である」と述べた。
オ ICT強化のための韓・ルワンダ協力(12日付)
11日、韓国の代表団がカガメ大統領を表敬し、ルワンダの情報通信技術(ICT)強化について話し合った。代表団の一員のジュン教授は、自国の経験を活かし、ルワンダがビジョン2020を達成する上で道しるべを行ないたいと述べた。近いうちにICT協力に関するMOUが両国の間で署名される予定である。
カ EUによる120億ルワンダ・フランの援助(13日付)
EUは農業分野に対し、120億RWFのセクター財政援助を行なった。
キ 5億6000RWFの畜産用道路の開通(26日付)
米国による5億6000RWFをかけて改修された畜産用道路(ントゥンガ・ルボナ間)が25日開通した。これにより、地方の畜産農家の家畜の販売が効率化する。
(4)外交
ア 外務大臣による中国文化の賞賛(13日付)
12日、中国大使館で開かれた春節のレセプションにおいてスピーチを行なったムシキワボ外務大臣は、中国の食文化を賞賛し、また、中国とルワンダの関係が、特に経済協力においてより高次のものに発展してきていると述べた。
イ 在仏ルワンダ大使館の再開(23日付)
22日、3年間の外交関係断絶の後、在仏ルワンダ大使館が再開した。
ウ ジェノサイド犯の処罰に対するサルコジ大統領の協力表明(26日付)
25日、ルワンダを訪問しカガメ大統領と会談を行ったサルコジ大統領は、同会談後の共同記者会見において、1994年のツチ族に対するジェノサイド実行者は全て逮捕され処罰を受けるべきだと述べた。さらに、サルコジ大統領は、ジェノサイド容疑者の一人が最近仏に政治亡命を申請したが断ったこと、また、仏国内においてジェノサイド容疑者に対する司法調査が進行中であるとも述べた。また、同大統領は、1994年のジェノサイドにおける仏の役割について謝罪を行わない一方で、100万人の人々に対して大きな過ちが行われたと認めた。カガメ大統領は、今回の会談において、両国が将来のために関係を強化する方法について話し合われ、貿易、投資、教育、保健、文化交流等を含む様々な分野において互恵的な機会を追求することが合意されたと述べた。教育に使用される言語を仏語から英語に切り替えたことについてカガメ大統領は、その切り替えが両国の外交関係の断絶によるものではなく、むしろ発展のための必要性によるものであり、ルワンダは現在も仏語圏の機関に属しているし、英語や仏語を含めた多くの言語を使う用意があると述べた。サルコジ大統領は、本年半ばニースで開催される仏・アフリカ首脳会議にルワンダを招待したことを明らかにした。
(5)安全保障
ア ルワンダのAUPSCへの当選(3日付)
アジスアベバで行なわれたアフリカ連合(AU)閣僚理事会において、ルワンダはAU平和安全保障理事国(PSC)に当選した。15理事国からなるPSCの新しい任期は本年4月から始まる。
イ コンゴ(民)へのジェノサイド実行者の潜伏(27日付)
ジャロウICTR検事長によると、コンゴ(民)の広い国土や政府の統治機能不足を利用して多くの1994年のジェノサイドの実行者が同国に潜伏している。なお、ジェノサイドの実行者の大部分は、中央、東、南アフリカに滞在している。