ルワンダ月報 2010年3月
ルワンダの英字日刊紙「The New Times」の記事を当館限りでまとめたものです。記事の中の客観事実は日本政府やルワンダ政府の公式見解と異なる場合がありますが、当館では文責は負いかねますので、ご了承下さい。
(1)内政
ア カユムバ元駐インド高等弁務官が手榴弾テロの黒幕(3日)
カユムバ元駐インド高等弁務官と元政府高官のカレゲヤ氏が2名の死亡者を出したキガリ市内の手榴弾テロの首謀者として告訴されている。ンゴガ検事によると、カユムバ氏とカレゲヤ氏は現在南アフリカ共和国(南ア)に逃避しており、テロの計画も南アでなされた。また、同検事によると、南アは同容疑者二人の引き渡しに協力的である。
イ PSイムベラクリ党によるンタガンダ党首のムシャイディ同盟への批判(10日付)
9日、PSイムベラクリ党の一部の派閥は、ンタガンダ党首を「不適切な行為」を理由に追放することを主張した。同党首は、民族対立やジェノサイド・イデオロギーを扇動し、国家の安全を危険にする人物達と接触していると批判されている。「我々PSイムベラクリ党員は、バーナード・ンタガンダ氏を批判し、距離をとることにする。なぜなら、同氏はルワンダに危機をもたらす人物達と行動を共にしているからである」と、これらの派閥のリーダーであるハキジムフラ氏により署名された文書は述べている。また、同派閥はンタガンダ党首が5日ブルンジでテロリズムの容疑で逮捕されたムシャイディ氏と行動を共にしていることを批判している。ンタガンダ党首の残したメモには、「我々は選挙に勝つであろう。もしも負けるのなら、計画しているように戦争が起こる。私はウガンダとタンザニアに軍事力を用意しているデオ・ムシャイディ氏と合意を結んでいる」とあり、このメモが同派閥がンタガンダ党首から分離する根拠となった。
ウ インガビレ党首とFDLRのつながり(13日付)
12日、インガビレFDUインキンギ党首は取り調べのため警察に拘留され、一定の捜査結果が出るまでは同党首が集会を開くことが許されなくなった。11月にあきらかになった国連の専門家による報告によると、同党首を含む多くの同党のリーダーは、FDLRと連絡をとりあい、財政的・政治的援助を与えている。
エ ンタガンダ氏のPSイムベラクリ党からの追放 (18日付)
17日、野党PSイムベラクリ党の党首ンタガンダ氏は、分離主義扇動とテロリズムとの関係の容疑で、同党を追放されたことがあきらかになった。ハキジムフラ元党書記長によると、テロリズムの容疑をかけられているムシャイディ氏とンタガンダ氏は、協力の合意を行なっていた。
(2)経済
ア コンゴ(民)、ブルンジ、ウガンダとの国境の24時間営業化(10日付)
ルワンダと、コンゴ(民)、ブルンジ、ウガンダとの国境の通過が、今年中に24時間営業になる。タンザニアとの国境については今のところ何も計画されていないが、移民局によれば、ルワンダとしては同様の措置をとりたい由。国境の24時間営業化は近隣国とのビジネスの活発化に必要不可欠な要素であり、政府の最優先課題の1つ。
イ カガメ大統領によるCBCでの演説(11日付)
10日、訪英中のカガメ大統領はコモンウェルス・ビジネス委員会(CBC)の主催する昼食会に参加した。カールCBC委員長はルワンダがコモンウェルスの一員として享受する経済的利益について演説を行い、カガメ大統領も同様に、ルワンダがコモンウェルスから多くのビジネス・チャンスを期待しており、そのために加盟国と協力すると演説した。また、大統領は本年5月10日、11日にキガリで行なわれる投資フォーラムに加盟国を招待した。同フォーラムはCBCとルワンダ開発局(RDB)が共催し、コモンウェルスの加盟国から政・財界リーダーが訪れてルワンダにおける投資の機会について話し合うと同時に、ルワンダが東アフリカへの投資の窓口になることがアピールされる。
(3)経済協力
ア ルワンダの家族計画政策に対するUSAIDの賞賛(23日付)
USAIDの専門家は、政府の強いコミットメントによるルワンダの家族計画政策が、MDG達成のためにアフリカ諸国の中でも特に良い結果をもたらしていると報告した。
イ ルワンダ・ウガンダ間のOSBPの開設(21日付)
19日、ルワンダ・ウガンダ間のワンストップボーダーポスト(OSBP)が開設された。サリEAC省次官によれば、同OSBPの開設により、EAC間の貿易取引が促進される。
ウ 日本による30万米ドルの草の根無償(21日付)
19日、新しく開館された日本大使館を通じ、「草の根・人間の安全保障無償資金協力」によってルワンダの団体に対して計30万米ドルの無償資金が供与された。
エ 灌漑のためのドナーによる3500万米ドルの財政支援(18日付)
USAID、カナダを含む複数のドナーが、灌漑改善のため計3500万米ドルの財政支援を約束したことが明らかになった。マクザ首相は、農業はルワンダの優先開発課題であり、その改善のためにはあらゆる手段をつくすと述べた。
オ ルワンダ・タンザニア間のOSBP設立合意(26日付)
26日、アルーシャで開かれているEAC閣僚会議において、ルワンダとタンザニアはワンストップボーダーポスト(OSBP)の共同設立のための合意文書に署名を行なう。ムニャカヤンザ外務協力省次官は、OSBPの設立により物の移動が簡略化し、二国間の貿易が活発化するだろうと楽観的な意見を述べた。また、同次官は同OSBPの設立とJICAによって支援される予定のルスモ橋の改修が一体であると述べた。
カ ルワンダと国連によるMDGs達成の加速化(31日)
30日、カガメ大統領は「One UN」の政策による国連の開発協力がルワンダにもたらした影響を調査に来た国連の代表団と面会し、ルワンダがMDGsを順調に達成しつつあるという認識を代表団と共有し、その達成をより確実なものにするために人的資源開発の分野で国連がルワンダに協力することが合意された。また、カガメ大統領は同会談の中で、全ての国が自分たちの国に尊厳を持ち、また国際社会と協力することの重要性を述べた。
(4)外交
ア アガサ・ハビヤリマナのジェノサイド容疑による逮捕(3日)
2日、仏滞在中のアガサ・ハビヤリマナ元大統領夫人がジェノサイド容疑で仏警察に逮捕され、現在司法当局の管理下にある。ンゴガ検事長は、同逮捕が最近の仏・ルワンダ関係の発展の結果であり、ルワンダ政府が仏司法部と協力する用意があると述べた。
イ コモンウェルス本部へのルワンダ国旗掲揚(9日)
8日、ルワンダの54番目のコモンウェルスへの加盟により、ロンドンのコモンウェルス本部にルワンダ国旗が掲揚された。カガメ大統領はルワンダの加盟についてコモンウェルス諸国に感謝し、同国が高いモラルをもち、積極的にコモンウェルスに関わることを約束した。「ルワンダは他の機関と同様に、コモンウェルスの強いパートナーシップを評価して同機関に加わった。様々な分野での協力を通じて他のメンバー国との関係を強化したい。第一に、全ての国家の未来は若者にかかっているので、コモンウェルスの提供する広い教育と人材育成の機会をルワンダが享受することを願う。第二に、コモンウェルスによる様々な国々との経済関係を強めることにより、ルワンダの世界経済への参加を促進したい」と大統領は述べた。シャルマ・コモンウェルス事務局長によれば、この日からコモンウェルスがルワンダとの協力のための濃密なロードマップを実行し、すでに市民教育とジャーナリストの研修において協力する用意があり、監査、ジェンダー、若者、人権、予算分野における協力についてもアクション・プランが近々作成される由。
ウ カガメ大統領によるロイヤル・コモンウェルス・ソサイエティ(RCS)での演説(10日付)
9日、英訪問中のカガメ大統領はRCSにおいてコモンウェルス、アフリカ、ルワンダにおける若者の役割について演説を行なった。「ルワンダをはじめとするアフリカ全般において、若者は国の再建と発展に重要な役割を担っている」と大統領は述べた。また、大統領はルワンダの9年基礎教育が開発計画の重要な一部であると述べ、教育の重要性について述べ、アフリカに多くの文盲の若者がいることについて注意を喚起した。本年末にRCSはルワンダにおいて「コモンウェルス若者リーダーシップ」のワークショップを開催する。
エ ITUの新委員会議長にカガメ大統領を指名 (26日付)
25日、トーレITU事務局長がカガメ大統領を表敬した際、ITUにより新設されるグローバル・ブロードバンド委員会の議長をカガメ大統領が務めることが明らかにされた。同事務局長は、2007年にキガリで開かれたアフリカのブロードバンド発展に関する会議のフォローアップのためにルワンダを訪問しており、ルワンダのICTインフラの発展を称賛し、カガメ大統領が同委員会の議長を務めることは、ルワンダのICTへの取り組みと成果に対する世界からの認知であると述べた。
オ RPFと中国共産党の結びつきの強化(30日付)
29日、中国共産党(CCP)のシーチ事務総長とRPFのンガラムベ事務総長が会談し、両党の結びつきをこれまで以上に強いものにする合意に署名を行なった。また、CCPは中・ルワンダ関係を強化し、とりわけ地方の交通インフラの整備において協力を行なうことを約束した。
カ カガメ大統領と中国高官の会談(31日付)
30日、カガメ大統領はCCPのシーチ事務総長と中・ルワンダ関係とルワンダにおける社会経済発展について会談を行なった。カガメ大統領によると、中国とルワンダは市民、統一、尊厳について価値観を共有しており、強いパートナー関係にある。
(5)安全保障
ア 米軍事アカデミーでのカガメ大統領の演説(15日付)
カガメ大統領は、息子が学ぶ米ウェストポイント軍事アカデミーで、国際社会が共通の安全保障上の危機に直面しているので、共同の解決策実現のために、協力し、相互理解を深める必要があることを演説した。
イ ルワンダとエチオピアの軍事関係強化(26日付)
25日、ルワンダとエチオピアは軍事協力に関するMoUを締結し、これにより訓練、教育、情報共有、軍事展開、装備強化における協力が合意された。ガチンジ国防大臣によれば、ルワンダとエチオピアには長期にわたる軍事協力があり、同MoUはこの関係を一層強化する由。フェゲサ・エチオピア国防大臣は、1994年のジェノサイドの際に、エチオピアが最初に国際社会に行動するようよびかけ、自国の軍隊を最初に送ったことは、両国の強い結びつきを示していると述べた。