ルワンダ月報 2010年4月
ルワンダの英字日刊紙「The New Times」の記事を当館限りでまとめたものです。記事の中の客観事実は日本政府やルワンダ政府の公式見解と異なる場合がありますが、当館では文責は負いかねますので、ご了承下さい。
(1)内政
ア カガメ大統領のジェノサイド追悼式典での演説(8日付)
ジェノサイド追悼式典の演説においてカガメ大統領は,1994年のジェノサイドは質の悪い国内・国際政治が原因であったため,そこから学んだルワンダ人はジェノサイドの再発を許さないであろうと述べた。
イ キガリ市内での手榴弾攻撃(12日付)
10日18:30から20:00の時間帯に,キガリ市内の2か所で手榴弾が爆発し,1名が死亡し,4人が軽傷を負った。事件のうち1件はニャブゴゴのタクシー乗り場,もう1件はチャハフィのキガリ中央刑務所で起こった。犯人については定かではないが,警察が調査中である。
ウ ガチンジ将軍が新設省庁の大臣に指名(13日付)
前国防大臣のガチンジ将軍が,新設された災害対策・難民問題省の大臣に指名され,国防大臣には前参謀総長のカバレベ将軍が指名された。
エ 新国防大臣の議会での宣誓(14日付)
13日,カガメ大統領はカバレベ新国防大臣をはじめ,カヨンガ新参謀総長,カイザリ新陸軍参謀長等新たに指名された国防省の要職を承認した。
オ 「UMUSESO」「UMUVUGIZI」の発行停止(14日付)
メディア高等委員会(MHC)は,当地語の「UMUSESO」と「UMUVUGIZI」の2紙の発行を6ヶ月間停止することを発表した。MHCによると,2紙はメディア法第83条(報道機関による犯罪への刑罰)に違反した記事を書いており,MHCによる度々の勧告に従わなかったためである。
カ ムヒレ中将とカラケ少将の逮捕(20日付)
19日,ムヒレ中将とカラケ少将が汚職と不道徳の容疑で逮捕された。ルタレマラ少佐によると,同逮捕はルワンダ国軍の規律と道徳を強制するための措置である。
キ NECとコモンウェルスによる大統領選挙に関する会議(21日付)
20日,スティーヴンズ・コモンウェルス事務局民主主義部長と国家選挙委員会(NEC)の委員は会議を行い,自由で公正な大統領選挙に向けてのコモンウェルスの支援について話し合った。
ク インガビレ党首の逮捕(22日付)
21日,インガビレFDUインキンギ党首は逮捕され,法廷に出頭した。同党首はテロリストとの関係及びジェノサイド・イデオロギーと民族分離の煽動の容疑を受けている。検察官は,同党首が民族分離を煽動していると主張した。
ケ RDFによるムヒレ中将とカラケ少将の逮捕の手榴弾事件との関連否定(22日付)
ルワンダ国防軍(RDF)は,ムヒレ中将とカラケ少将の逮捕と手榴弾事件との関連を否定した。
コ 緑の党幹部の離脱(23日付)
22日,未登録政党,緑の党の3人の幹部がハビネザ党首の無法な行動を問題視し,党を離脱することを発表した。ンシミイマナ党情報書記官によれば,ハビネザ党首が彼ら3人が党の路線から外れていると発言し,さらに様々な偽情報を流した由。また,離脱を発表した3人の幹部はハビネザ党首がRPFのイメージを悪化させルワンダの安定を揺るがそうとする外国勢力の傀儡であるとも述べた。離脱した3人は彼らが依然としてRPFと思想を異にしており,緑の党からの離脱に伴い新たな政党を設立すると述べた。
サ インガビレ党首逮捕事件に関する新たな3人の逮捕(23日付)
ンゴガ検事総長はインガビレ党首の協力者であった,元FDLR上級司令官のンディトゥレンデ中佐,ハビヤムベレ中佐及びカルタ中尉の3人の反政府活動家を訴追すると発表した。彼ら3人は,インガビレ党首と共にルワンダの安定を揺るがすための軍事活動を行っていた疑いがある。
シ 上院からンタガンダ氏に対する取り調べの要求(23日付)
元PSイムベラクリ党首のンタガンダ氏に対し,上院のガバナンス委員会は,同氏が当局の適当な機関による取り調べを受けるべきであるとの結論に達したと発表した。また,同委員会はPSイムベラクリ党が憲法違反をしないように,同党を監視下に置くことも勧告した。
ス インガビレ党首の保釈(23日付)
22日,インガビレ党首は検察局に1週間に一度報告することと,キガリ市内に留まることを条件に保釈された。
セ 自由党の大統領選挙立候補の可能性(24日付)
22日,政党フォーラムの自由党(PL)は,8月の大統領選挙において自党の候補者を擁立する可能性を示した。候補者は5月の党会議で決定される予定である。
ソ ヒューマンライツウォッチによるルワンダへの脅迫(28日付)
27日,政府の報道官も兼ねるムシキワボ外務協力大臣は,ヒューマンライツウォッチ(HRW)がルワンダ政府に対して手紙で脅迫したと発表し,HRWは傲慢でルワンダの政府機関に対する尊敬を欠いていると批判した。24日,HRWの常駐代表に指名された英国籍のテートサキアン氏に対して移民局長は査証の期限切れを理由にルワンダからの退去を命じた。当局によれば,テートサキアン氏は査証申請書における「重大な不合理」により滞在資格を剥奪されたが,HRWは本件退去命令が,HRWによるルワンダ政府に対する批判を抑圧するための政治的理由によるものであると主張している。
タ インガビレ党首に対する法的制裁(28日付)
27日開催されたプレスに対するブリーフィングにおいて,ムシキワボ外務協力大臣は,同党首がテロリストと協力してツチ族に対するジェノサイドを継続する計画をしたという明確な証拠が存在すると述べた。また同大臣は,最近のプレスの報道が,大統領選挙が混乱をもたらすという幻想を助長するために不必要に歪曲されているが,現実にはルワンダには法と秩序と質のよいリーダーシップが存在し,国民は大統領選挙を平和に行う用意ができていると述べた。ンゴマ検事総長は,外国のプレスの,同党首が「大統領候補として」逮捕されたという主張を否定し,同党首とFDUインキンギの基底にあるジェノサイドを肯定するイデオロギー自体が犯罪と看做されるべきであると述べた。
チ インガビレ党首の共謀犯の裁判(30日付)
29日,ンディトゥレンデ中佐とハビヤムベレ中佐(どちらも元FDLRの上級将校)は,インガビレ党首とポール・ルセサバギナ氏と共にルワンダに対して反政府武装蜂起を行う共謀をしたと認めた。インガビレ党首とルセサバギナ氏は,北キブで活動する武装勢力に活動資金を送金していた。
(2)経済
ア ビジネス環境整備のための改革(19日付)
ルワンダ開発局(RDB)はルワンダの経済競争力改善のための改革案を明らかにした。改革案は,投資環境を整え民間セクターの成長促進を主な目的としており,会社設立,建設許可の取得,所有権の登録,貿易,納税の手続きの簡易化等が含まれる。
イ CEPGL主催の国境県の知事による会議(20日付)
19日,ルワンダ,コンゴ(民),ブルンジの国境県の知事は大湖地域経済共同体(CEPGL)主催の会議を行い,協力分野に関して話し合った。ニャタンイ地方政府担当大臣によると,最近CEPGL諸国間での安全保障と経済成長のための協力が発展しており,今後追求すべきは人と物の移動の自由化と,一層の安全保障に関する情報共有であると述べた。
ウ ルワンダのアフリカ内で最も高い成長率を世銀が発表(21日付)
19日,アフリカ諸国とのビデオ会議においてデヴァラジャン世銀アフリカ担当チーフエコノミストは,政府の説明責任の高さや良質な政策によりルワンダがアフリカ内で最も持続的に高い経済成長を達成している国の一つになっていると発表した。
エ ルワンダ・コンゴ(民)間の国境の24時間運営化(21日付)
両国の経済関係を促進するため,ルワンダ・コンゴ(民)間の国境(ギセンニ・ゴマ間)が24時間運営化した。
(3)経済協力
ア アフリカ・インフラ会議の開会(23日付)
22日,アフリカ内の企業,ドナー機関,政府関係者の参加するアフリカ・インフラ会議の開会式において,カレガ・インフラ大臣は,インフラ関係の企業の重役とアフリカ政府の指導者達に対し,アフリカで開発が早く達成されるためには,大陸内の移動手段を発展させることが重要であると訴えた。同大臣は,ルワンダがVISION2020を達成するために,道路・鉄道などの交通手段の発展が不可欠であると述べた。
イ 中国の建設会社による地域鉄道の建設の可能性(24日付)
23日,アフリカ・インフラ会議において,中国市民工学建設会社(CCCECC)のリー社長は,タンザニア,ルワンダ,ブルンジ間の地域鉄道建設についての興味を表明した。CCCECはルワンダにおいてフランス学校,RAMA本部,銀行ビル等の建設を行っている。
ウ WFPによる地元農家からの農産物購入(30日付)
WFPは,日本政府と共同で東部県ガチボ地区において地元農家から農産物を購入し,難民に給付するプロジェクト「P4P」を立ち上げた。
(4)外交
ア カールソン議長によるジェノサイド中の国連への批判(8日付)
スウェーデン議会におけるジェノサイド追悼行事において,ジェノサイドにおける国連の責任検証委員会の議長も兼ねるカールソン・スウェーデン首相は,1994年のジェノサイド中,国連はルワンダを裏切ったと発言した。
イ 国連事務総長によるジェノサイド被害者への敬意(8日付)
世界中でのジェノサイド追悼式典の開催に合わせ,バン・ギムン国連事務総長は,国連がジェノサイドの被害者への正義を確保し,ジェノサイドの再発を防ぐための最大限のコミットメントを有するという声明文を発出した。
ウ ウガンダ担当大臣によるジェノサイドの批判(9日付)
7日,ウガンダの地域協力担当大臣はウガンダ国内のルワンダ人コミュニティによるジェノサイド追悼式典に参加し,1994年のジェノサイドを強く非難し,前政権が無実の市民を殺戮したことを批判した。
エ 欧米諸国によるジェノサイド容疑亡命者の黙認(9日付)
ルワンダが第16回ジェノサイド追悼式典を開催する中,多くの欧米諸国はジェノサイド容疑者を自国に匿っている。国家訴追局によると,アメリカには,少なくとも6人のジェノサイド容疑者が亡命している。また,イギリスの機関イージス・トラストによると,世界各国には20万人のジェノサイド容疑者が自由に行き来している。
オ ルワンダの議員による英の選挙監視(12日付)
ルワンダ議会は,5月の英の総選挙監視に参加するアフリカ4か国の1か国に選ばれた。ハビマナ議会情報局長によると,こうした発展はルワンダの選挙監視に英が選ばれたことを含む両国間関係の発展の結果である。また,ハビマナ局長は,ルワンダ議員によるイギリスでの選挙監視の経験は,8月に行われるルワンダの選挙にも教訓になるはずであると述べた。
カ スウェーデンの議員のカガメ大統領表敬(16日付)
15日,ルワンダ訪問中のスウェーデンの議員がカガメ大統領への表敬を行い,経済成長,大統領選挙,コンゴ(民)との関係,報道の自由等について話し合った。
キ カナダ総督の到着(20日付)
20日,ジャン・カナダ総督が3日間の国賓訪問のためルワンダに到着する。同総督のルワンダ訪問中には,カガメ大統領との会談,ルワンダ国立大学における青年とのメディアやジェンダーに関する対話が予定されている。
ク カナダ総督によるジェノサイドについての謝罪(22日付)
21日,ルワンダを訪問中のジャン・カナダ総督は,カガメ大統領との会談において,1994年のジェノサイドに際しての国際社会の無関心について謝罪を行った。カナダ政府高官は会談中,ダレール将軍からの警告等にも関わらず,カナダを含めた国際社会は,ジェノサイドの起こったときに適切な対応を怠ったことを認めた。ルワンダの復興について同総督は,ルワンダが政治における女性の進出の面で世界をリードしていると賞賛した。カガメ大統領は,会談において地域の安全保障や開発等の問題も話し合われたと述べた。同総督と同大統領は,開発,保健,人権分野での強い協力関係の継続について再確認を行った。
ケ カナダ総督による,民主主義におけるメディアの重要性の主張(23日付)
ルワンダ国立大学(RNU)を訪問したジャン総督は,民主主義の発展においてジャーナリズムが欠かせない役割を持っていると主張した。
(5)安全保障
ア EAC安全保障会議における勧告への署名(15日付)
16日,ブルンジで開催されていた第3回EAC安全保障会議において,EACの閣僚は平和と安定のための勧告書に署名を行った。勧告書の内容には,人身取引,薬物取引及び自動車の盗難への取り組みや,警察・軍の標準化のための枠組み作り,小型武器・軽火器対策の更新が含まれる。
イ スウェーデン・ルワンダ議員間でのジェノサイド容疑者に関する会談(16日付)
15日,ルワンダ訪問中のスウェーデンの国会議員はルワンダの国会議員と会談し,ルワンダ解放民主軍(FDLR)とジェノサイド容疑者対策に関して話し合った。ルワンダの議員からはヨーロッパに亡命中のジェノサイド容疑者の犯罪人引き渡しについて質疑がなされ,スウェーデンのガベリック議員から,ジェノサイド容疑者のヨーロッパ亡命を続けさせるわけにはいかないと返答された。
ウ EUによる大湖地域の安全保障へのコミットメント表明(21日付)
16日,ギールEU大湖地域担当特別代表はカバレベ国防大臣と会談し,コンゴ(民)東部の武装紛争とウガンダにおける神の抵抗軍(LRA)の攻撃を終わらせるための4つの和平プロセスに引き続き関与を続けることを発表した。
エ FDLRの能力低下をコンゴ(民)が発表(24日付)
コンゴ(民)国軍の報道官が,FDLRの戦闘能力が殆ど失われたので,コンゴ(民)東部におけるFDLRの活動はもはや脅威では無いと発表した。
オ ルワンダ・ブルンジ・コンゴ(民)による安全保障協力の設立の可能性(27日付)
外務協力省で開催されたルワンダ,ブルンジ,コンゴ(民)間の協力関係発展に関するワークショップにおいて,カバケザ外務協力省経済協力局長は,ルワンダ,ブルンジ,コンゴ(民)民間で安全保障・開発面での協力の可能性が非常に大きいと強調した。ムニャカヤンザ外務協力次官は,ルワンダが大湖地域国際会議(ICGLR)を地域の平和と発展のために大変重視しており,特にGTZによるICGLRに対する支援に感謝を述べた。