ルワンダの観光と特色

 

(1) ジェノサイド記念館 (Genocide Memorial Center)

 1994年に発生したジェノサイドの記念館。ドキュメンタリーフィルムや犠牲者の遺骨及び遺留品等が展示されており、当時の様子、ジェノサイドに至った経緯や背景を紹介しています。ジェノサイド記念館は、キガリ市内(ギソジ地区)のほか、ムランビ、ニャマタ、ニャンザ等ルワンダ各地にあります。これら記念館への入場は無料ですが、写真撮影には撮影料を求められることがあります。また、訪問後に幾ばくかの寄付を置かれることをお勧めします。

コラム①:ルワンダ大虐殺
 ルワンダでは1962年の独立後、多数派のフツ族(全人口の85%)が政権を掌握し、少数派のツチ族(同14%)を迫害する事件が度々発生していました。1990年に、独立前後からウガンダに避難していたツチ族主体によるルワンダ愛国戦線がルワンダに武力侵攻し、フツ族政権との間で内戦が勃発しました。1993年8月にアルーシャ和平合意が成立し、国連は停戦監視を任務とする「国連ルワンダ支援団(UNAMIR)」を派遣しましたが、1994年4月のハビャリマナ大統領暗殺を機に、フツ族過激派によるツチ族及びフツ族穏健派の大虐殺が始まり、同年6月までの3か月間に犠牲者は80~100万人に達したとされます。この間、避難したルワンダ難民救援のため、我が国は同年9~12月、国際平和協力法に基づき、ザイール共和国(現コンゴ民主共和国)のゴマ等に約400名の難民救援隊・空輸隊等を派遣しました。また、当時国連難民高等弁務官を務めていた緒方貞子前JICA理事長がルワンダ難民救援に尽力しました。

 

(2) 国立公園

 ルワンダには現在、3つの国立公園があります。
① アカゲラ国立公園(Akagera National Park)
東部県に位置し、タンザニアとの国境の一部を形成しています。面積は約2,500km²。ベルギー植民地時代の1934年に動物保護区として設立されました。園内にはシャカニ湖(Lake Shakani)やイヘマ湖(Lake Ihema)といった湖もあります。1994年にルワンダ内戦が終結すると、ルワンダ政府は内戦から逃れるために国外に避難していた人々を国立公園内に受け入れました。また、内戦時には隣接するタンザニアの保護区などに逃れていた野生動物も近年公園内へ戻りつつあります。園内には草食動物としてゾウ、キリン、バファロー、シマウマ、カバ、ヒヒ、インパラなどが、肉食動物ではヒョウ、ワニなどが生息しています。また、鳥類の生息地としても知られています。

  

② ヴォルカン国立公園(Volcanoes National Park)
 ヴォルカン国立公園は、その名の示すとおり5つの非活火山から成り立ち、最高峰は4,507mのカリシンビ山です。その山麓には約650頭のマウンテンゴリラが生息していると言われます。現在、公園内では13のマウンテンゴリラ・グループが確認されており、大きなものは約30頭の群れで構成されています。観光客が訪れることができるのはそのうち11のグループで、それぞれ、アマホロ、スサ、カリシンビ、ヒルワなど名前がつけられています。参加者は90%以上の確率でゴリラに会うことができると言われます。トラッキングは一番短いもので2時間、平均で4時間、長いもので7時間のコースがあります。ただし、群れは縄張り内で移動するため、所要時間は左右されます。また、ゴリラの保護のため、参加人数は1日あたり88名(8名一組のグループが11組)までに制限されています。
 トラッキング参加者は、朝7時にゴリラトラッキングの事務所に集合し、どのグループに行くかが割り当てられます。参加者の方でグループを指定することはできません。グループが決まったら、グループに分かれて、レンジャーから訪れるゴリラの家族構成や観察の諸注意などが説明されます。その後、グループ毎に車でトラッキングのスタート地点へ向かいます。ここで、荷物を持ってくれたり、険しい山道で手を引いてくれたりするポーターを雇うこともできます。道中、トラッカー(グループに先行してゴリラの跡を追う人)からレンジャーへ何度も連絡が入り、その指示に従いながら最短距離でゴリラの群れを目指します。そのため、険しい森の中をかき分けて進んで行くこともあります。ゴリラのいる場所付近へ到着すると、カメラと最小限の貴重品のみを持ってゴリラ観察に向かいます。観察中の注意事項は、7m以内に近づかないこと、フラッシュを使用しないこと、ゴリラを指差さないこと、静かにすること、驚いても逃げないことなどです。1時間の観察が終わると、再び歩いて下山し、最後に事務所でゴリラトラッキングの参加証明書が授与されます。

コラム②:マウンテンゴリラ
 マウンテンゴリラは、約800万年前にヒトと進化の枝分かれをした、人間に最も近い霊長類の一種です。現在、世界でもルワンダ、ウガンダ、コンゴ民主共和国にまたがるヴィルンガ山地の森林のみに生息しており、約650頭いるうちの約三分の一がルワンダにいると言われます。
 マウンテンゴリラの特徴としては、ローランドゴリラよりも体毛が長く、短い腕を持ち、また、その他のゴリラよりも体格が多少大きいことが挙げられます。木に登ることもできますが、普段は地上で暮らしています。マウンテンゴリラの雄は、大人になって背中が灰色になると「シルバーバック」と呼ばれるようになります。マウンテンゴリラは一夫多妻制で、群れはボスのシルバーバックを中心に家族単位で構成されています。群れによる行動、例えば捕食や営巣、縄張り内での移動などはボスであるシルバーバックが取り仕切ります。マウンテンゴリラは草食動物であり、木の根、新芽、果実、樹皮、木の髄などを食べています。

 

 マウンテンゴリラは、1980年代に内戦や乱獲、人間の病気の伝染、森林の伐採などにより、一時は大幅に数を減らしましたが、密猟パトロールや観光と保護を結び付けたルワンダ政府主導の活動のおかげで、徐々に頭数は増加しつつあります。カガメ大統領も野生生物の保護を最優先事項としており、ゴリラ保護のため土地利用を制限するなどの政策を取っています。毎年、その年に生まれた赤ちゃんゴリラのための伝統に則ったネーミングセレモニー「クウィタ・イジナ」が開催されています。そしてこれらのイベントやツアーの収益を使って学校や福祉施設を作るなど、地元民の生活向上にも役立てています。

 

③ ニュングウェ国立公園(Nyungwe National Park)
 南部県と西部県の境界上にあり、ブルンジとの国境に近いキブ湖の南側に位置する広大な森林公園です。キガリからフイエを経由して公園の入り口までは車で約5時間です。設立は2004年で、熱帯多雨林、竹林、草原、沼地など計1,020km²の面積を有しています。公園はアフリカにおける野生動植物の重要な保護区でもあり、園内には13種の霊長類のほか、200種類以上の鳥類、1000種類以上の植物、約85種の哺乳類、32種の両生類、38種の爬虫類など多様な生物の生息が知られています。主な霊長類として、チンパンジー 、アンゴラコロブス、ベルベット・モンキー、オールフェース・モンキー等がいます。

  

(3) ルワンダ国内の博物館・美術館

名称/所在地

概要

コンタクト

Ethnographic Museum
フイエ(車で約2時間半)

ルワンダの文化、芸術、民族、生活様式等が幅広く展示されています。

(共通)
Public Relations Officer
Email:info@museum.gov.rw
電話:073-074-1093

Natural History Museum
キガリ市内

3つの国立公園や鉱物などを展示で説明しています。屋外には生きたヘビも展示されています。

Presidential Palace Museum
キガリ市内

1994年に暗殺されたハビャリマナ元大統領の官邸と大統領機墜落現場が見学できます。

King’s Palace Museum
ニャンザ(車で約2時間)

伝統的な王宮(再現)や後年の近代様式の王宮等を見学できます。

National Art Gallery
ニャンザ(車で約2時間)

ルワンダのコンテンポラリーアートが展示されています。建物はムタラ3世によって建設された王宮です。

Museum of Environment
キブイエ(車で約3時間)

2015年1月現在、開館準備中。

 

コラム③:ルワンダ・コーヒー
 コーヒーはルワンダの農産物輸出売り上げ第1位を占めており、地方の人々にとって最も大きな現金収入源です。ルワンダのコーヒーの歴史は、植民地時代に外貨獲得の政策に端を発しており、現在においても古くからの手法をそのまま受け継ぎ、各農家で自然有機農法による栽培、手作業での収穫、洗浄、選別という丁寧な手法で生産されています。標高の高い土地、豊かな土壌、十分な降雨量という条件が揃ったルワンダは、高品質なコーヒーの栽培に理想的な土地であり、コーヒーの中でも最も古く希少なブルボン種の栽培が可能で、世界的にも高い評価を受けています。近年では、タリーズコーヒー、スターバックスやドトールコーヒーなどの大手コーヒー会社も買い付けに訪れています。また、ルワンダはアフリカ大陸で初めて2008年より国際的なコーヒー品評会である「カップ・オブ・エクセレンス (COE)」の開催国となりました。ルワンダが世界における最高品質のコーヒー産出国の一つと認められた証とも言えます。

 

(右:手作業によるコーヒー豆の選別)